2021/07/16 08:59

こんにちは。たこ店長です。

パプアキンイロクワガタが産卵しない場合について
解決方法を書いてみましたので参考にしてみてください。

目次
・結論!マットの水分量と産卵温度の組み合わせ
・9パターンのマット環境で実験
・実験結果からわかる考察

結論!マットの水分量と産卵温度の組み合わせ

水分量はマットに対して10%以下(少な目)かつ室温25℃(基本温度)で産む

水分量少な目、マットをがちがちに詰める等のたくさんのブリーダーさん達の経験則から

知られていた結果ではありましたが数値で結果を得ることが出来ました。
次の項目では実験の内容と得られた結果について書いていきます。


9パターンのマット環境で実験

①水分量10%+室温20~22℃(ワインセラー):産卵数10
②水分量10%+室温23~25℃(エアコン):産卵数25
③水分量10%+室温25~28℃(ヒーター):産卵数18


④水分量20%+室温20~22℃(ワインセラー):産卵数11
⑤水分量20%+室温23~25℃(エアコン):産卵数12
⑥水分量20%+室温25~28℃(ヒーター):産卵数14


⑦水分量30%+室温20~22℃(ワインセラー):生まない
⑧水分量30%+室温23~25℃(エアコン):生まない
⑨水分量30%+室温25~28℃(ヒーター):生まない

⑩⑧のメスを②の環境で再セット:産卵数18

共通事項として、ケースはコバエシャッター小、マットはフォーテックさんの「産卵一番」を使用。
マット量は約4Lをガチガチに硬くなるまで(ケースをひっくり返して落ちないぐらい)に詰めた。
産卵木は入れず足場となる樹皮とゼリーを入れたシンプルな基本セットを組んでみた。(1か月間)

マットの水分量でグループ分けし、それぞれマットに対し水分量10%、20%、30%のケースを各温度帯にて管理。
10%グループは全て産卵し、産卵数も良い方だ。
20%グループは10%に比べやや産卵数は落ちたもののまずまずの結果で産み渋りは起きなかった。
問題は30%グループ・・・まったく産みませんでした。(産み渋りMAX)
ずっとマットの上を徘徊しガチガチマット+水分多めの為にコバエが発生した挙句、
マットの劣化も早く散々な結果となった。
メスの成熟確認の為、⑧のパターンで使用したメスを②のパターンで再セットしたところなんと産卵した。
産卵セットの温度帯を合わせていたのでこのメスの産卵スイッチはマットの水分量であることがわかった。


実験結果からわかる考察

今回の実験結果から、マットの水分量が産卵のスイッチになっていたということがわかった。
パプアキンイロクワガタの住むパプアニューギニアのアルファック山は、亜熱帯に属するにも関わらず
標高が高いため冷涼な気候で少し乾燥している。これはつまり「気温は高いが湿度が低い環境」であることがわかる。
さらに野生下では、手で崩れるようなボロボロの倒木や土中の木に産卵する。この環境を産卵セットで再現する必要がある。
しかし、日本は温帯で湿度が高く、通常の環境で産卵セットを組むとどうしても湿度が高くなりがち。
その為、マットの水分量を減らし、崩れる倒木を再現する為、超微粒子発酵マットをガチガチに詰める必要がある。
ガチガチのマットは形こそ違えど材料は同じなのでもはや倒木。(クワガタにマットを倒木だと錯覚させる)
このように野生下での環境を再現し虫にとってストレスなく産卵セットを組むことが大事ということが、改めて証明されたと思う。


この実験はサンプル数も少なく正直参考値にもなりませんが、ある程度湿度に相関性が見られたのでやってよかったと思います。
少しずつですがブリーダーが「知りたいけどちょっと面倒くさい」実験をやっていければと思います。
次回は産み渋りの王、ニジイロクワガタで試してみたいと思います。